高松次郎写真集『PHOTOGRAPH(写真の写真)』

PHOTOGRAPH

PHOTOGRAPH

部屋の一隅で反乱するのはイメージ、日常、あるいは写真。高松次郎がクールに消去する写真というイデオロギー

    • 光田由里(美術評論家)(帯文より)

高松次郎(1936−1998)は、1960年代から70年代にかけて、中西夏之や、赤瀬川原平らとともに我が国の現代美術をリードした美術家であり、見るものに「思考させる」作品や、自らが「思考する」作品により、作品と世界との間に新しい関係を作りだすことに成功し、1960年代以降の日本におけるコンセプチュアル・アートに大きな影響を与えた。本書に収められている『写真の写真』シリーズは、我々の日常的な状況の一部を対象(モチーフ)とした写真を用いることにより、写真におけるメッセージ性という特質を排除し、又、作品の中に一切の隠喩も含ませない状態で、光と影のムラに過ぎない写真の物体としての即物的な存在が、写真の持つ視覚のイリュージョン性によって、作品として自立し、芸術として成立するかという試みがなされている。高松はこの『写真の写真』シリーズを通して、写真に備わる即物性とその特質によって生み出される芸術の可能性を問題提示している。(Webサイトより引用)